音楽ダイアリー

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≪Head above water≫ Avril Lavigne アブリル・ラヴィーン

おすすめ度: ★★★ (3つ星が最高点)

 

 

 

 

アブリル・ラヴィーン5年ぶりの6作目となるアルバム。

5年ものインターヴァルが空いてしまったのは、難病ライム病を患い、2年間の闘病生活を送っていたためだ。

 

寝たきりの生活の中で書かれた曲が表題作にもなっている “Head above water”。

「神様、荒波を乗り越えさせて 絶望の底で息がきれてしまう前に」と歌い、一時は死を覚悟したという切実さが身に染みる。重厚にして深遠な歌詞にもかかわらず、耳当たりのポップ・ミュージックとして成立していることに凄みを感じる。ポップ・アイコンとしてのアブリル・ラヴィーンの面目躍如といえる。

 

収録されている曲の大半は、闘病生活がテーマではなく、失恋を含めたラブ・ソングであり、これまでの彼女の楽曲と大きな路線変更はない。しかし、病気を克服した自信と勇気によるせいか、恋愛を含めた自分の人生を自身の手でコントロールしたいという強固な意志がすべての楽曲に感じられる。

 

例えば、”Tell me it’s over”では、恋人との別れを歌った歌詞なのに、音だけ聴くとまるで応援歌と聴き違えてしまうほど、エネルギッシュな曲となっている。

 

そして、ラストを飾るのは“Warrior”(戦士)。

「私は諦めたりしない 生き抜くのよ 私は戦士だもの」

難病を克服し、新たな自分に生まれ変わった決意表明とも受け取れる歌となっている。

 

彼女の5年ぶりの帰還を心から祝福したい。