音楽ダイアリー

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『全ロック史』西崎憲

おすすめ度: ★★  (3つ星が最高点)

 

全ロック史

全ロック史

 

 

 タイトル通り、ロックの創成期から現代までを総括した全ロック史。年表、ミュージシャン・バンド名、アルバム名などの索引もしっかり整備され、読み物としてだけでなく辞書としての機能も兼ね揃えている。クラシックやジャズはこうした通史や概説書の類が多数出版されているが、ロックの場合は極めて珍しいので、貴重な一冊といえる。

 

 本文だけで400ページを越え、その情報量の多さに圧倒される。執筆に5年以上も費やしたと「あとがき」に書かれているが、当然である。膨大なバンドやミュージシャン名が紹介され、細かすぎるくらいロックのジャンル分けがされている。時代ごとにどのような音楽が大衆に流行したのか、どのような時代的な必然があってその音楽が発生したのかを理解するのに役立つ。当初は、ロックの歌詞を披露することを目的とする書物にする予定だったらしく、主要な曲の歌詞が掲載されている。ロックが同時代を表現する音楽として有効に機能していたことがよくわかる。

 

 ロックによる現代史というべき大著。