音楽ダイアリー

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≪フォークロア folklore≫ テイラー・スウィフト Taylor Swift 

 

フォークロア(通常盤)

フォークロア(通常盤)

 

 

おすすめ度: ★★★ (3つ星が最高点)

 カントリー・ミュージック、1980年代パステルカラー・ポップ、ヒップポップと、テイラー・スウィフトはアルバムごとに音楽スタイルを大きく変えていますが、本作ではアルバム・タイトル通り、伝承歌のような古風な雰囲気が漂っています。彼女の作品の中では、音数が少なく地味な仕上がりにもかかわらず、最良のポップ・ミュージックになっています。これまでの楽曲とは違い、装飾的なサウンドが控えめな分、メロディメイカーとしての彼女の実力ぶりが際立ち、素顔のテイラーに会える作品となっています。

 

 彼女が不幸だったのは、16歳でデビューし、10代でカントリー・ミュージックを歌う優等生的な歌手として登場したのに、いくつかの出来事をきっかけに恋多き魔性の女とのレッテルを貼られてしまったことです。その結果、ラブ・ソングが発表されるたびに、楽曲の評価よりも「この曲はだれとの恋を歌ったものなの?」といったゴシップネタが全米中に拡散され、彼女にとってはありがたくない状況となっています。本作でもラブ・ソングが中心となっていますが、個人的な経験を誰もが共感できる私たちの物語として昇華しているあたりに、彼女のたぐいまれな才能を感じます。

 

 私は2018年の東京ドーム公演を観ています。メインステージからサブステージに移る際、彼女はアリーナ席の観客たちとハイタッチしながら、数百メートルの距離を駆け抜けました。そのサービス精神は、今世界でもっとも売れているセレブといった驕りはなく、観客を楽しませたいというエンターテイナーとしてのプロ根性を感じました。

 


Taylor Swift - cardigan (Official Music Video)