≪フー Who≫ ザ・フー The Who
おすすめ度: ★★★ (3つ星が最高点)
フーの13年ぶりのアルバム。日本では彼らの人気は驚くほど低いが、ビートルズやローリング・ストーンズと並んで1960年代の3大バンドと呼ばれている。
I don’t care!(構わないさ!)
本作はフーとしかいいようのない勢いのある「All this music must fade」から始まる。
「こういう音楽はいずれ消え去る」と歌いながらも、その歌詞とは真っ向から反発するような攻撃的で疾走感のあるサウンド。フーのファンだったら、1曲目からあげあげモードに突入してしまう。
オリジナル・メンバー4人のうちすでに2人は他界しているが、フーはひとつも変わっていない。常に今という時代に異を唱える代弁者であり、反逆者である。
ボーカルのロジャー・ダルトリー、ギターのピート・タウンゼントとも70代。70代になっても10代の瑞々しい感性を失っていない。その事実に驚かされる。老年であるからこそ手に入れることができた英知と処世術が歌詞にも反映され、若僧には書けない味わい深い詞になっている。
ロジャーが名盤の誉れ高い「『四重人格』以来の傑作だと思う」と評していることからも、自信のほどがうかがえる作品。